動物愛護法は人間がペットを正しい方法で飼育できるように、そして動物たちの暮らしをより豊かなものにするために必要不可欠なものです。
動物愛護法はペットに係る仕事に就く人全てがきちんと把握しておかなければならない大切な法律です。この動物愛護法、2021年6月に新たなルールが設けられましたが皆さんはご存知でしょうか。
りん
目次
トリマー兼ブリーダー必見!
大前提として、動物愛護法は5年おきに内容の見直しがあります。
なぜ5年おきかというと、既に飼育されている動物や飼育者が突然のルール変更では対応が難しいため、5年という移行期間を設け、事前に告知した内容で準備を進めるためです。
特に2021年6月に改正された内容は、トリミング業と並行してブリーダー業を手掛けているトリマーにとっては影響が大きいと思われます。
具体的には・・・
- 8週齢規制(生後56日未満の犬猫の売買の禁止。ただし日本犬など天然記念物の犬種を専門的に扱う繁殖業者が販売業者以外の顧客に直接販売する場合は50日齢以上とする。)
- 出産可能年齢の上限設定(交配する繁殖個体は6歳以下、犬の出産回数は6回を超えてはいけない。)
- 帝王切開に関する情報管理(帝王切開を実施した場合は、獣医師による出生証明書と診断書を5年間保管する。)
上記のように、これまでは各々の判断に任されていた部分に数字という具体的なルールが加わりました。これらは悪質なブリーダーやペットショップを抑制するための措置ともいえます。
さらには飼育可能な頭数に上限(従業員1人につき繁殖業者は犬15匹、猫25匹、販売業者は犬20匹、猫30匹)が設けられたり、飼育ケージのサイズについても具体的な数字が定められることになりました。
寝床や休息場所となるケージのサイズ
- 犬:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
- 猫:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の3倍以上)、1つ以上の棚を設け2段以上の構造とする
- 複数飼養する場合:各個体に対する上記の広さの合計面積と最も体高が高い個体に対する上記の高さを確保する。
運動スペースのサイズ
- 犬:床面積(分離型ケージサイズの6倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
- 猫:床面積(分離型ケージサイズの2倍以上)×高さ(体高の4倍以上)、2つ以上の棚を設け3段以上の構造とする。
りん
参照:動物愛護管理法の飼養管理基準に関する省令の概要 – 環境省
ケージ等及び訓練場の構造等の基準
金網の床材としての使用を禁止(犬又は猫の四肢の肉球が傷まないように管理されている場合を除く)、錆、割れ、 破れ等の破損がないこと。
他者にアドバイスするときは法律を順守しましょう
トリマーの場合、トリミングを通じて知り合ったお客様から「子犬を家族に迎えたいので信頼のおけるペットショップやブリーダーを紹介して欲しい」という相談を受けることがあります。
りん
動物愛護法では下記の事項を義務付けています。
- 動物取扱業の許認可を得ていること
- お客様が見える位置に動物取扱業許認可証を提示していること
- ホームページやパンフレットなどに動物取扱業許認可情報を掲載していること
さらに販売する動物には・・・
- 8週齢規制
- マイクロチップ装填の義務
- 飼育方法の説明義務
- 品種等の名称、標準体重・体長、性別、生年月日、生産地等の情報を共有すること
- 健康状態の告知、獣医師により治療歴がある場合はその内容を説明すること
- 摂取済ワクチン証明書を提供すること
といった販売時のルールも存在します。
自分のお客様や知り合いから子犬が欲しいと相談があったときは、動物愛護法について説明し、その上で法律をきちんと守っていることが「信頼できる販売者」の証であることを説明しましょう。
現役ブリーダー
トリマーというプロの立場で正しい情報を発信したり、アドバイスをすることは、ペット業界をより良いものに近づけることに繋がります。
自分はトリマーであってペットショップの販売員の仕事は経験したことがないから・・・とは思わずに、お客様の良きアドバイザーでありたいと考え、動物に関する法律についても日々学ぶことを意識していきましょう。
今後ブリーダー業や繁殖業をやりたいと考えている人へ
ブリーダー業や繁殖業への挑戦を決意したときは、動物取扱業の「販売」種別の取得を忘れずに。
すでにトリマーとして独立開業されている方は動物取扱業における「保管」を取得していますが、この「保管」という種別において繁殖した子犬を売買することは許可されていません。
ブリーダーとして子犬を繁殖し、ペットショップやお客様に対して販売を行うには、事前に動物取扱業における許認可が必須となるので、計画的に取得手続きを済ませておきましょう。
現役トリマー
りん