保護犬問題やブリーダーの飼育崩壊、多頭飼育崩壊など、ペットに関する様々なニュースは残念ながら数が減りません。
この記事を見ているトリマーさんの中には「でも自分には何もできないし・・・」と思っている方はおりませんか?
特別な技術を身に着け、動物が好きという想いが人一倍強いトリマーだからこそ果たせる役割があります❗️
りん
目次
ボラトリって何?
この活動は主に動物保護団体や地域の保健所、里親会などで実施されています。
中にはトリミングサロンの定休日をボランティアトリミングの為に提供したり、スタッフ総出で保健所に出向いてトリミングを行うというスタイルをとっているお店もあります。
動物保護団体の多くが民間のボランティア団体です
日本では動物保護団体の多くが民間のボランティア団体です。そのため資金繰りは大変厳しく、医療費、フード代、施設維持費などを考えると、トリミングサロンの利用にかかる費用の捻出は難しいのが実情です。
しかし、動物保護団体や自治体に収容、保護されている犬猫は何年もトリミングを施していないプードルやシーズー、全身が糞尿で汚れ、立ち上がる事さえできない犬猫、不衛生な環境で悪化した深刻な皮膚病を抱える動物など・・・このままでは到底、新しい家族との出会いは期待できないと思われる状態に陥っています。
新しい家族と出会うため、そして温かく豊かな新生活を送るために、トリマーのもつ特別な技術を必要としている保護犬や保護猫たちがたくさんいます。
お店でのトリミングとボラトリの違い
カットのデザイン性やおしゃれさを追い求めるトリミングとボランティアトリミングには大きな違いがあります。ボランティアトリミングでは最低限の清潔さを取り戻し、機能性・過ごしやすさを重視したトリミングを施します。
ボラトリに参加したトリマーからは、くさい・噛みつかれた・暴れたという声があがることがあります。しかし、トリミング終了後に生まれ変わった犬猫達の姿は、誰もが満足と感激を覚えています。
週末は予定で埋まってる・自宅で犬猫を預かるのは難しいなど、保護活動のすべてを自身で引き受けることは難しいでしょう。でも保護活動の一部に参加するというスタイルであれば、自分なりの関わり方ができるのではないでしょうか?
ボランティアトリミングの募集や開催情報は主にWEBサイト、SNSに掲載されています。保健所や各地の保護団体で不定期に募集を行っているケースもあるので、まずは気軽に問い合わせや見学に出かけてみましょう。
ボラトリを通じて築ける新たな人間関係
トリマーさんの中には職場の人間関係に疲れた、仕事は嫌ではないけれど技術に伸び悩んでいるなど、様々な悩みを抱えている方も少なくはないでしょう。
トリミングサロンの大半はスタッフが5人以下、個人経営、年功序列・・・そのうえ、女性ばかりという職場環境です。毎日顔を合わせているからこその窮屈さがあるのも当然です。
りん
ボラトリには様々な参加者がいる
ボラトリには下記のように様々なトリマーが参加しています。
- ドッグショー経験のあるベテラントリマー
- 都内有名店舗でトリミングサロンの店長をされている方
- トリマー専門学校の講師
- 出産や子育てをきっかけに離職した元トリマー
- 専門学校を卒業したばかりのカットの苦手な見習いトリマー
- 転職を考え、技術向上を目指したい現役トリマー
ボラトリ中は職場の人間関係とは別枠だからこそできる会話があります。また、職場では学び経験することのできなかった技術や工夫を発見することもできます。
技術以外にも道具のことや犬猫の扱い方、将来のこと、独立開業のこと、プライベートなことなど、気が付けば同じトリマー同士で会話が盛り上がります。
初対面同士、年齢や職場、キャリアもまるで異なるトリマー同士が和気あいあいとトリミングに取り組める背景にはペットが好き、綺麗で可愛くしてあげたいという共通の想いがあるからでしょう。
目の前に犬や猫がいることで自然とお互いに会話が生まれるのもこの仕事ならではです。
ボラトリに参加義務はない
ボランティアトリミングに参加義務はありません。仕事やプライベート、自身の体調を踏まえ無理のない範囲、回数で続けることができます。
予約に空きができた時こそボラトリを
もしも予約に数時間の空きが出来てしまったら、ぜひ保護団体へ声をかけてみましょう。保護犬をカットモデルとして受け入れることで、スタッフのモチベーションアップにもつながりますし、新人トリマーのカット練習にもなります。
さらには店舗でこのような取り組みを行っていることを積極的にアピールすることで広告宣伝効果も生まれます。
保護犬や保護猫から学べるたくさんのこと
トリマーにとって技術の向上は常に心がけておきたいものです。しかし実務経験を重ねる中で、自分の目指すべきゴールが分からなくなった、具体的な目標がなくなったと感じることはありませんか?
トリマーが目指す目標は必ずしも繊細で特別なカット技術ばかりではありません。世間の人々はトリマーに対して下記のような犬猫への対応も期待しています。
- 噛みつき癖のある犬
- 高齢犬や高齢猫
- 疾病や持病を抱える犬猫
保護犬や保護猫は、これまでに人間との触れ合いが十分ではないことが多々あります。もちろんトリミングやお手入れを受けた経験も乏しく、中には過度に威嚇したり攻撃行動や萎縮を見せることもあります。
このような犬猫は素人には到底扱えません。シャンプーなんてもってのほかでしょうし動物も人も怪我のリスクを抱えます。そんな時、動物を扱うプロであるトリマーの技術・知識は人々の救いになります。
トリマー側としても、このような特別な境遇をもつ犬猫と触れ合い、試行錯誤をかさねながらトリミングを施すことは、将来きっと技術向上に大きく貢献してくれるでしょう。
りん