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トリミング中断時の料金は全額請求すべき?

トリマーさんの多くは飼い主様から愛犬を預かる際に、飼い主様の希望通りのスタイルに仕上げてあげたい!毛玉やもつれを解消し、清潔で暮らしやすいスタイルにしてあげたい!と考えているはず。

ですが時にはペットが暴れてしまってトリマーにも危険が及んでしまう、ペットの調子が悪くなってしまったなど、さまざまな理由からトリミングを中断せざるを得ない事態に遭遇することもあるでしょう。

このように途中でトリミングを中断した場合、飼い主様への説明や請求金額はどのようにすべきでしょうか?

りん

今回はトリミング中断時の請求とお客様対応に関して様々なケースを例に、どのようにすべきかを考察しています♪

犬に原因がある場合は全額請求が当然?

トリマーの世界では、お客様の犬猫を預かってトリミングを行うためにはトリマーとして一人前の技術を持っており、一人で仕上げまで完遂できることが求められます。

しかし・・・

  1. 咬み犬・暴れ犬
  2. ハサミやバリカンに怯える・噛み付く
  3. 高齢または子犬で体力に限界がある
  4. 何らかの要因で呼吸異常やチアノーゼを起こしている
  5. 何らかの要因で脱糞や失禁を起こしている

上記のように異常な状態に陥っている犬猫に関しては、トリマーの持っている技術に関わらず作業を中断せざるを得ないでしょう。

これが爪切りやブラッシングなど、シャンプー前のタイミングであれば、飼い主様に事情を説明してスムーズにお迎えを要請できますし、料金も爪切りや単品オプション料金のみにすれば良いのでお互いに納得できますが・・・。

先輩トリマー

新卒トリマー

シャンプーを始めてから、カットを始めてから異常事態に陥った場合はどのように対処すれば良いのでしょうか?

こんな時、まずはお互いの立場でどのような意見が出るかを整理してみましょう。

トリマーの立場で思うことは?

  1. トリマー側の事情での作業中断ではない
  2. 作業完了を見越して予約時間を確保している
  3. 爪切りや耳掃除、シャンプーまでは完了している

など、トリマー側からしたら通常通りのトリミング料金の請求が妥当だと考えることの方が多いでしょう。

でも・・・

飼い主の立場で思うことは?

  1. 希望通りの状態に仕上がっていないじゃないか!
  2. 濡れた状態や躊躇半端な状態で返却されることには納得できない!
  3. 担当トリマーの力量不足が原因ではないのか?

上記のように、多くの飼い主様はトリミングの中断で料金を全額請求されることに納得はしないでしょう。

りん

トリミングの中断は飼い主様が100%納得できるような解決法はなかなか見いだせない難題と言えますね・・・。

トリミングの中断において料金を全額請求した場合、もしも飼い主がスムーズに支払ったとしても、本心から納得しているとは限らず、後日悪評や口コミ投稿によるトラブルに繋がることは十分あり得ることを認識しておきましょう。

解決法①:経緯の説明を丁寧に伝える

トリミングサロンやペットサロンのトリミング室という飼い主の目の届かない場所での作業は、時に不信感や誤解を招くことがあります。

残念ながら、飼い主から見えていない環境下でのトリミング作業の中断はトリマーの責任とされたり、愛犬が嫌な思いや経験をさせられたために豹変し、中断せざるを得ないような事態に陥ったのではないのか?と勘違いされることも。

なるべく無用なトラブルを避けるために、トリミングの中断が発生した際には飼い主に対して何があってどうして作業を中断したのか?をイチから丁寧に説明しましょう。

また予め動画を撮影しておく、最初のトリミングでは飼い主付き添いで作業を行うなどの対策をとることで、決してトリマーが犬を乱暴に扱う・叩く・怒鳴るという行為をしている訳ではないことも理解してもらえます。

りん

言葉だけではなく目に見える形で当時の状況を伝えられると、より作業中断の理由や請求料金の正当性を飼い主様も理解してくれます。

解決法②:作業中断で終わらせず、新たな提案をする

トリマーさんの中には、もしも犬が暴れて噛み付いてきたとしても、プロとして何とかなだめながら最後までやり遂げたいと思う方も多いのではないでしょうか。

ペット美容のプロとして、責任感が強いことは大変素晴らしいことです。しかし時にはペットが平静ではない状態でトリミングを継続することにより、過度に興奮して体調を崩してしまったり、思わぬ怪我に繋がることもあります。

作業中断の判断はなかなか難しいことではありますが、【無理をしない】ということが何より大切です❗️

先輩トリマー

もしもトリミングの中断を決めた時は、飼い主様との関係を良好に保ち、悪評に繋がることを防止するために、中断するだけではなく提案することも意識してみてください。

例えば・・・

  1. 回数を分けて作業を行う(少しずつトリミングに慣れてもらうため)
  2. 飼い主様に立ち会ってもらいながら作業を行う
  3. 嫌いなことを見極めるために時間を掛けて様子を見ながら作業を行う

 などなど・・・

通常であれば大体のカット犬種(小型犬)は2〜3時間でトリミングが終了します。でも、トリミングで暴れてしまう犬、シャンプーを嫌がる犬など、トリミングの継続が難しいレベルの行動を見せるペットの場合、飼い主様に通常の作業では犬に掛かる負担が大きいことを説明し、ペット個々の状態に合わせて最適な方法を提案してみましょう。

ペットによってはとんでもない時間を掛けることになるかもしれませんが、このまま一生トリミングができないよりは、何が嫌いかをトリマーがしっかり把握して、徐々に慣れてもらって気持ちよくトリミングが行えるようにしてあげたいものです。

また料金については、その時達成できた作業度合いによって通常料金の何%分だけを請求するなど、臨機応変に対応しましょう。これなら作業中断をしたのにも関わらず全額請求するよりもはるかに飼い主様は納得して支払いをしてくれます。

カットが必要な犬種であれば、生涯にわたってトリミングは欠かせないものです。ただお断りをするだけでなく、どうすればトリミングに慣れてもらえるかを飼い主様と一緒に考えていきましょう🎵

りん

解決方法③:時間外別料金で貸切トリミングを提案する

トリミングを中断せざるを得ないほどにペットが興奮したり、暴れたりといった行動を見せる理由の一つに、実はトリミング室内の環境が原因だったなんてことも。

トリミング室内は基本的に扉が閉まった密室状態であることが多く、その中に見知らぬ犬が間近にいたり、知らない犬猫の臭いで充満していたりします。

普段他犬が苦手でビクビクとしてしまう性格の犬、他犬に対して少なからず攻撃性を持つ犬、他の動物の匂いや存在に慣れていない犬などの場合、このような状況下でトリミングテーブルの上に立たされたり、無防備な状態で体を濡らされることは想像以上の恐怖を感じて、攻撃性を引き出してしまうことがあります。

このような場合は少々大掛かりですが、飼い主様にトリミング室の貸切を提案することも検討してみましょう。

飼い主様には通常の営業時間内でトリミングを安全に継続することができないことを伝え、時間外や貸切りでの利用を提案しましょう。もちろんこの貸切時間内は他犬や動物をトリミング室内に入れることはNGです。

先輩トリマー

POINT
トリミング室の貸切対応を提案する際には、あくまでも特別な対応であることを伝え忘れないように。また、料金に関しても他に利用しているお客様やスタッフが正しく認識するために、通常料金ではなく割増の貸切料金を別途用意しましょう。

もちろん、トリミング室の環境が原因ではない場合もあり得ますが、ペットがトリミングを嫌う要因を特定するためには考えられる原因を一つ一つ探っていく必要があります。

貸切ならトリミングの前後にトリマーと触れ合って遊んだり、オヤツをあげたり、思う存分コミュニケーションを交わすこともできますね🎵

りん

料金を割り引く場合は、具体的な明細を伝えましょう

何らかの理由でトリミングを中断した際に、割引きで請求する場合または無料にする場合、どちらにおいても必ず理由と請求金額の明細をお客様に伝えることは失念しないようにしましょう。

  • 通常の50%程度の作業が行えたので請求は50%分だけ
  • 作業が中途半端になってしまった上に怪我をさせてしまったので無料
  • 今後の利用をお断りする代わりに今回は無料とする

などなど・・・やむを得ない理由は多々あれど、請求金額の内訳と理由は明確に伝えなければいけません。

また、トリミングにはどのような作業内容があるのかを知らない飼い主様も多いので、具体的に爪切り・耳掃除・シャンプーといった項目ごとに【未/済】を記入するとより明確になります。

POINT
中断したことを伝えた時点で不快感をあらわにする飼い主様もいますので、金額に関する内容は口頭で説明するよりも書面を用意して説明・お渡しする方がスムーズです。
その他にもトリミング中断の理由や金額の明細、中断した際の事情を担当以外のトリマーにも共有できるように、お客様カルテへの記入も忘れずに🎵

りん