動物病院で働くトリマーは「動物病院ではトリミング時に麻酔を使うの?」と質問をされたり、時には「噛みつくので麻酔を使ってトリミングをしてください」と飼い主様から相談をされることがあります。
しかし、猫のトリミングで麻酔を使用するのは一昔前の話であり、今となっては麻酔を使うケースはごく稀です。
りん
目次
猫のトリミングで麻酔を使うって本当?
実際に一部の動物病院では猫のトリミング時に麻酔を使用しています。
しかし、このようなケースは治療の為であったり、猫が過度に興奮してしまうことで猫にもトリマーにも危険が及ぶ可能性がある場合にのみ実施されている方法です。そして麻酔を使用する際は獣医師の判断のもと、十分安全に配慮して行われています。
ちなみに一昔前まではトリミングサロンやペットサロンでも、扱いにくい猫や危険があると思われる猫に対しては、トリミング前に少量のマタタビを与えるという方法を用いるお店も存在していました。
しかし、マタタビを用いる手法に関しては最近ではどこのサロンでも実施されていません。
お客様の中には昔の情報を知っている方もいるため、安全な方法かつ短時間でトリミングを済ませるために麻酔が必要であると解釈されている方がいます。
りん
猫の飼い主様の悩みを丁寧にヒアリングしよう
トリマーの平均年齢は20~30歳です。年配のお客様との会話の中でたびたび自分の知らない一昔前の手法や話題が出ることもあるでしょう。
丁寧にヒアリングをしてみると、お客様の要望は下記のようにとても明確であることが分かります。
- 愛猫がシャンプー嫌いで困っている
- シャンプーをすると暴れたり、噛みついたりとトリマーさんに迷惑をかけてしまうのではと不安
- 抜け毛や毛玉を綺麗にして欲しい
上記のような要望であれば、麻酔やマタタビに頼らず、口輪やエリザベスカラーの着用で十分トリミングを行えます。
りん
マタタビの常用は猫に危険なことも
「猫にマタタビ」という諺もある通り、猫はマタタビが大好きだと思い込んでいませんか?確かに猫はマタタビを与えると夢中になったり、温厚になったり、表情も柔和になります。
興奮状態にあった猫が途端に大人しくなるほどにマタタビの効果は絶大です。
マタタビの作用を誤解して、日常的にマタタビを与えると、猫の神経経路は様々なダメージを受けるだけでなく、マタタビの常用性によって日常生活にも支障をきたす可能性も出てきます。
りん
興奮しがちな猫のトリミングはどう乗り越える?
猫は体が水に濡れることを本能的に嫌がる習性を持っており、命に危機が迫っているとさえ感じてしまう生物です。これは「しつけ」だけでは改善することは難しいものです。
もちろん、中にはお風呂大好きな猫もいますが、あえてトリミングサロンを利用するということは、お風呂嫌いに間違いないでしょう。
このような猫のトリミングを担当する場合は下記の事項に注意してトリミングを行いましょう。
- リードやハーネスを着用する
- リードは手で持つ、エプロンに結んでおく、シャンプー中はドッグバスに結び付けておく
- シャンプー前にブラッシングスプレーで毛玉、もつれを取り除き、シャンプーやドライヤーの時間を短縮する
- トリミング中に過度な興奮や異変を感じた時は、すぐに作業を中断する
りん
猫の性格を見極めてトリミング作業を行おう
これまでシャンプーをしたことが無く、家では暴れてしまって洗えないと飼い主様から説明を受けた猫に関して、実際にシャンプーしてみると、驚くほどに大人しかったということも珍しくありません。
りん
大人しい猫がいる一方で、とても手に負えないまたは危険と感じるほどに暴れまわり、攻撃的になる猫もいます。
このようなタイプの猫はトリマーが体を押さえつけたり、抱きしめたりとすることでますます興奮が加速します。
このようなタイプの猫をトリミングするときは「洗濯ネット」などを活用するのがおすすめです。
このように便利なアイテムを活用すれば、猫のシャンプーを積極的に受け付けることもでき、ペットサロンやトリミングサロンにとっても、トリマーにとってもメリットがあります。
15歳未満の子供や犬よりも猫の飼育頭数が多い現代
ここ数年の日本における猫ブームでは、今後も大きく変わる様相はなく、これからも猫の飼育頭数は増加の一途を辿ることが予測されます。これはつまり、ペットサロンにとって猫は犬同様に迎え入れることが必要とされる時代が来たと言えます。
そんな中、より多くの猫に来店してもらうためには、各々のお店で下記のようなアピールをすることが効果的です。
- 猫のシャンプーを受け付けているかどうかを提示する
- 猫のシャンプーやカットの料金を提示する
- どんな方法でシャンプーをするのかを説明する
- どんな安全策を講じているのかを説明する
昨今の猫ブームを受け、ペットサロンでは猫のトリミングが得意なトリマーが増えたり、専門学校には猫専門の学科もできています。
そしてこれからは今よりもっと猫専門の動物病院やペットホテルも増えてくることでしょう。
りん