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トリミングアームを使う?使わない?不使用が招くリスクは想像以上に大きい

トリミング中にアームを使うかどうか?については、トリマー同士はもちろんのこと、お客様からも賛否両論が寄せられます。

しかし結論から先にいうと「使うべき」です。

なぜなら、あらゆる意味で「安全」が確保できるからです。トリミングに関する考え方は時代にともに大きく変わってきています。

りん

これまでの常識を見直して、これからは常に「安全」を意識したトリミングを行いましょう。

トリマーから寄せられるアームへの意見

ベテラントリマーや一人前と呼ばれる技術を身に着けているトリマーからは下記のような意見が度々あがります。

  • アームが作業の邪魔になる
  • アームを使用しなくても問題ない
  • トリミングテーブルから犬を落下させるようなことは絶対にないから不要

専門学校ではアームを常に使用しますから、アームを使用することが「恥ずかしい」「初心者みたい」と感じてしまう方も一定数います。

もちろんアームが作業の邪魔になるという意見も間違いではありません。顔のカットをするときは、アームがあっては作業が進みません。

お客様目線でみたアームへの意見

お客様からは下記のようなネガティブな意見がたびたび寄せられます。

  • 首が苦しそう
  • 無理やり犬を立ち姿勢にさせていてかわいそう
  • トリマーの技術不足なのでは?

などなど・・・中には出店先のショッピングモールのクレーム対応窓口に意見が寄せられたというケースもあります。

トリマーもお客様も双方が「アーム」にネガティブな意見を持つことが多いからこそ、実はアームを使わないというトリミングサロンは今でも多く存在します。

ペットを預かっているからこそ「もしも」のリスク回避を考える

ネガティブな印象があるから使っていないという方は、これからはアームを使用することをぜひ「当たり前」と考えて欲しいです。

なぜなら、私たちトリマーはお客様の大切な家族であるペットを預かる仕事をしているからです。

かけがえのない唯一無二の存在を預かるということがいかに責任の大きいことか、自身のキャリアや経験を過信してもいいのか?再度考えてみましょう。

普段はおとなしい常連さんの犬であっても、不意に普段と違う行動を見せることもあります。

注意
トリミング作業中に大きな地震や火災が起こることもあり得るでしょうし、トリマーが体調不良やケガで不意に犬から目や手を放してしまうことだってゼロではありません。

プロとしてペットを預かる以上は、いかなる場面でも常に「安全」が確保されていることは絶対条件です。

プロであるからこそ、もし自分は作業中に手を放してしまったら、もし今、大きな災害が起きたらどんな結果を招くのか想像がつくはずです。

「アーム」があれば、犬がトリミングテーブルから落下するという最悪の事態や、犬がパニックを起こして脱走してしまったなどという事態を一旦は防ぐことができます。

りん

トリマーだからこそできる危険予測を、これからはもっと真剣に考えてみましょう。

トリミング中の事故で生じる多額な費用

皆さんの中には、犬をトリミングテーブルから落下させてしまうなんてミスは絶対に起こさない、おとなしい犬だから飛び降りてしまうことなんてないと考えている方はいませんか?

最近では作業中にスマホやカルテを確認したり、カット終わりに写真を撮る機会も増えています。このような状況の時、テーブルの上の犬は本当に安全なのでしょうか?

毎日の仕事の中で、心のどこかで「根拠のない大丈夫」という思い込みができてしまっていませんか?

心当たりがある方は、自分の思い込みが後にトリミングサロンの経営や、自身の生活を左右するほどの大きなリスクを招くこともぜひ知っておいてください。

注意
仮に小型犬がトリミングテーブルから落下して骨折をした場合、治療費の相場は30~50万円ほどです。手術はもちろん数か月の通院やリハビリも必要です。

ヘルニア持ちだったり持病があった場合は、落下が原因で悪化したり、膝蓋骨の先天的な疾患を抱えている場合は、さらに治療費は高額になります。死亡という結果に至った場合、費用は想像すらできないでしょう。

費用は誰が負担する?

では、この費用は誰が負担するのでしょうか?当然、トリミングサロンが全額負担します。

しかし、どんなに客数が多く繁盛している店であっても、ある日突然これほどの高額な費用を工面するのは決して簡単なことではありません。

またトリミングサロンとの雇用契約によって、業務中に生じた損害をトリマー個人が負担すると契約を交わしている場合、この費用はトリマー個人で負担することも考えられます。

自身の給与に換算した場合、数か月分にも相当する高額な費用をある日突然用意するとなると、想像以上に大きな問題でしょう。

りん

自分の過信や店の方針ゆえの出来事といっても、この代償は想像以上の結果を招きます。

アームの使用を再考してみよう

すでに大手トリミングチェーン店や個人経営サロンでもリスク管理に目を向けている方は、アームの使用を原則として仕事環境を見直しています。

アームを使わないことが、トリマーの高い技術の証明という考え方はもう一昔前の常識です。

これからはトリミングサロンや動物病院、ペットショップなど施設側もトリマー自身も「安全」を意識しなければなりません。 

裁判では飼い主の精神的損害が認められたケースも

大手トリミングサロンを中心にアームの使用や事故予防策が講じられるようになった背景には、日本の「ペット」に関する法律の解釈に変化がみられるようになったことが大きく関係しています。

これまで日本の法律ではペットはあくまでも「物」として扱われていました。死亡に至る事故であっても同等の犬を新たに購入する弁償相当の費用を支払うことで解決でき、飼い主の感情が加味されることはありませんでした。

POINT
しかしペットブームから20年近くが経ち、今やペットも大切な家族であることを誰もが認めています。大切な家族が怪我や事故にあったとき、治療費の実費負担だけでなく、その後のケアにかかる飼い主の負担や精神的な損害までも加味した賠償を求める判例が続々と下っています。

トリミング中の事故や怪我であっても、場合によっては治療費実費負担だけでは、解決できないこともあり得ます。

りん

このような社会的な価値観の変化から考えても、トリミング中に万全の「安全策」を講じることがいかに大切かが分かると思います。 

ドッグバス専用アームも!最新アイテム活用しよう

アームと聞くとトリミングテーブルに取り付ける製品を思い浮かべますが、最近はドッグバスに付けることができる製品も続々と発売されています。

  • ステンレスシンクに取り付けることのできる強力な吸盤
  • 伸縮リードで犬の向きや姿勢を変えるのもスムーズな製品
  • 濡れても問題ない素材で作られている

犬の中にはシャンプーが苦手な子も少なくありません。シャンプー中も突発的な事故が起こりうる状況です。

これからはぜひ、上記のようなバス専用アイテムも上手に活用し、安全な環境を整えていきましょう。

お客様には誤解を招かないよう積極的に情報発信を

アームの使用に関しては、お客様からネガティブな意見を発せられることがあります。

あまりにネガティブな意見が多い場合、せっかくペットのことを考えて行った安全策なのに、トリマーにとっては不快でストレスを抱えてしまうでしょう。

そのような事態にならないために、お客様にはサロン側が先手を打って積極的に「アーム」を使う理由などの情報発信を行っていきましょう。

  1. なぜアームを使うのか
  2. アームが首に負担をかけるものではないこと
  3. アームを着用していても、おすわりの姿勢をとれること

上記の項目を写真やイラストで分かりやすく掲示すると、飼い主様も「アーム」が危険なものでは無いことなどを理解してくれるでしょう。

アームを自費で購入する場合は1万円以内が相場

アームはネットショップや中古トリミング機材を扱うサイトで3000~10000円ほどで購入ができます。

ただし購入する場合は、信頼のおける販売店から購入をしましょう。

注意
安価な製品の中には、固定金具の締めが緩く作業中に不安定になったり、支柱部分が簡単に折れてしまうことがあるので注意してください。

作業の邪魔になることも多いアームですが、何よりも確実な「安全策」と考え、今後は積極的に使用することをぜひ検討してみてくださいね。