トリマーのお悩みの1つに、仕事の進め方に関する事項が挙げられます。
仕事の進め方はトリミングサロンや動物病院ごとに様々ですので、就職や転職で新たな手法に慣れるのも一苦労ですよね。
そして、仕事の進め方は大きく分けると【一人一頭仕上げ】と【分担制】とがあります。
とあるトリマー
などなど・・・今回はトリマーだからこそのお悩みについて考えてみましょう。
目次
一人前トリマーの必須条件「一人一頭仕上げ」
トリマーの専門学校を卒業後、一人前のトリマーと呼ばれるまでには大体2〜3年の下積み期間があります。
この下積み期間中に、先輩トリマーの指導を受けたり、練習を重ねたりすることで一人一頭仕上げができるトリマーに成長します。
一人一頭仕上げができるようになれば、その後の転職はもちろんのこと、独立開業もグッとリアルなものになってくるでしょう。
もちろん専門学校でも、一人一頭仕上げ制度を設けている学校があります。就職活動中や新卒トリマーの中には、この経験をもとに「一人一頭仕上げができます」という方もいます。
でも・・・一般的なトリマーの世界で認識される「一人一頭仕上げ」と学生や新卒トリマーが考える「一人一頭仕上げ」の意味は若干異なり、作業時間や出来栄えの美しさなどもふまえて「仕上げる」ことが求められます。
りん
一人一頭仕上げとは、単にトリミング作業だけを意味しているのではなく、お客様が来店された時の受付、オーダーの確認から始まり、トリミング全般、最後のお迎えまですべてに責任を持つという意味でもあります。
経営者目線で作業効率アップを目指すなら「分担制」
トリミングサロンによっては、分担制で仕事を進めるスタイルもあります。
「分担制」は受付・シャンプー・爪切り・ブロー・カットとすべての作業が分担制で、数人のトリマーが携わったり、中には手が空いた順に流れ作業的にトリミングをこなすというスタイルです。
また、指名制を導入しているトリミングサロンの場合は、指名があった場合は一人一頭仕上げを行い、指名されていない場合は分担というトリミングサロンもあります。
「分担制」を設けている背景には、経営者や先輩トリマーの考え方など様々な理由が挙げられますが、単に売り上げを伸ばす、予約受付件数を増やすということを目的とすれば最適な方法といえます。
また、分担制を行っているトリミングサロンの場合は下記のような特徴があります。
- 新卒は当面の間シャンプー担当
- カット担当者はドライヤーが終わったタイミングで、新人から仕事を引き継ぎ、カットを行う
- カットは限られた数名のトリマーが行う
- お客様のお迎え対応は、カット担当者が行う
そのため、カット担当のトリマーから見た場合下記のような不満を抱えることことがあります。
- シャンプーの洗い残しが気になる
- ドライヤーのテクニックが不十分
- シャンプーやドライヤーに時間がかかりすぎる
でも、逆にシャンプー担当者からすれば「一日何頭もシャンプーばかりを繰り返す」「カット技術が衰えてしまわないか不安」「カットを覚えたい」「親しいお客様のペットを担当させて欲しい」などの不満を感じてしまうでしょう。
シャンプー担当、ベイザーという役割もある
トリミングサロンや動物病院の求人の中には下記のような内容が掲載されることもあります。
- 無資格OK
- 技術は店舗で指導します
- 仕事はシャンプー担当
上記は文字通り、シャンプー担当者を募集しています。カットや接客はベテラントリマーが行うので、下準備となるシャンプーやドライヤーだけを担当して欲しいという意味です。
もちろん、トリミングの仕上がりの良し悪しは、シャンプーがいかに丁寧にできているか、ドライヤーでいかに被毛の根元に風がいきわたっていたかで左右されます。
また、シャンプーしている中で下記のようにペットの様々な異変に気が付くこともあります。
- 皮膚トラブル
- 小さな腫瘍
- 脱毛
- ノミやダニの寄生
- 呼吸の乱れ
- 口内トラブル
これらの異変を見逃さずに、トリマー同士で情報共有をすることはもちろんのこと、飼い主さんにも的確に伝えなくてはなりません。また、場合によってはトリミングを中断するという判断にもつながるでしょう。
りん
実際にあったシャンプー担当者の悩み
トリマーとして仕事を続ける中で気になるのは、自分の将来、この先の成長についてでしょう。
あるトリミングサロンでは、新人トリマーは3年間シャンプー専任というスタイルをとっています。3年間はシャンプーの技術を習得する期間となるので、カット担当者としてステップアップできるのは4年目からです。
しかしこの場合、同期で専門学校を卒業した友人は既に一人一頭仕上げができていることも多く、遅れを取ったと感じてしまうこともあるでしょう。
でも安心してください。3年間で身に着けたシャンプー技術が無駄になることは決してなく、その後のカットの出来栄えにも十分活かされます。長い目でみれば、同期のトリマーよりも各段に技術力は高くなるでしょう。
りん
このようなケースは「素晴らしい」とも「転職すべき」ともどちらの意見も正解です。
どちらを選ぶかは自分自身で決めるしかありません。
転職?続ける?見極めるための3つのポイント
とあるトリマー
とあるトリマー
上記のどちらもトリマーの世界では正解です。
もし、自分の働き方や将来の不安がある場合は、下記3つのポイントを考えてみてください。
- 今の職場で具体的な自分の将来がイメージできる?
- 今の職場に理想と感じる働き方をしている先輩トリマーがいる?
- 今の職場に毎日出勤することが辛くない?
トリマーとして一人前と呼ばれるほどの技術を身に着けるには、数年の時間が必要です。それまで日々努力を重ねるということは、決して簡単で楽しいことばかりではないでしょう。
今の職場で3年・5年と経った時、頑張って働く自分の姿を想像できますか?そのころには掃除やシャンプー担当からステップアップし、後輩トリマーも増えているでしょう。
もし、シャンプー担当や雑用・分担制の仕事であっても、その先の働き方を実践している先輩が今の職場にいれば、自分自身もいつか同じような姿になることができるはずです。
しかし・・・周りの先輩を見ても、何年もシャンプー担当のまま、不平や不満が多く、挫折して退職をしてしまうということが多いなら、残念ながら自分もいつの日か同じようになってしまうかもしれません。
この場合、トリマーとしてさらなる成長を望むなら、自分の希望を実現できる新しいトリミングサロンへの転職を考えた方が良いでしょう。
「一人一頭仕上げ」も「分担制」も、どのような視点で考えるかで、それぞれにメリット・デメリットを見出すことができるようになります。
りん