シニア犬のトリミングについては、トリマー対トリマー、トリマー対経営者、トリマー対飼い主とでたびたび意見が分かれます。
一定の年齢以上はトリミングをお断りするというお店もあれば、何歳であっても受け入れるというお店もあります。
りん
目次
犬の平均寿命は10年で2倍に!20歳越えも珍しくない時代
愛犬・愛猫にはいつまでも元気に過ごして欲しいと誰もが思うことでしょう。
実はこの10年で犬の寿命は以前の2倍もの長さにまで伸びています。今や犬猫の平均寿命は13~15歳となり、20歳を超える長寿も珍しくありません。
犬猫の寿命が伸びた背景には・・・
- 室内飼育が当たり前になった
- ドッグフードの品質が向上した
- 動物医療が発展し、病気の早期発見や高度治療が可能になった
上記以外にも、ペットとの暮らしの中でトリミングサロンを利用することが当たりまえになり、愛犬の異変や不調を早期に発見できるようになった、お手入れが行き届いて衛生的な生活を送ることができるようになったという点も、犬猫の寿命を伸ばしている重要なポイントと言えます。
トリミングは何歳までOK?
「何歳までトリミングを受け付けるか?」についてはトリマーにとって大きな課題の一つです。
以前は8歳を目途にトリミングの受け入れを断るというサロンが主流でした。
しかし今や犬猫の8歳はまだまだ元気なことも珍しくありません。
その上、国内で飼育されている犬の半分以上がシニア期と呼ばれる年齢層にあることからも、シニア犬を一律ですべてお断りしてしまうと、売り上げ面でも大きなダメージを受けてしまうでしょう。
かといって年齢を制限せずにトリミングを受け入れることは、持病の悪化や死亡といった大きなリスクを抱えることとなります。
現役トリマー
現状の対応法で多くみられる方法は?
トリミングサロンにおけるシニア犬またはシニア猫の受け入れに関する対応は下記のようにお店ごとでさまざまです。
- シニア犬の新規の受け入れは行わない(これまでに利用歴がある場合に限り、年齢に関係なく受け入れる等)
- 利用規約に同意したうえでのみ受け入れる (万が一の体調不良や事故に備えて事前に利用規約に同意することを絶対条件として受け入れる等)
- 一定の年齢を超えた場合、一律ですべてお断りをする
- 獣医師の事前診察を受けた場合のみ受け入れる
何歳から断るのか?何歳まで受け入れるのか?という判断は持病の有無や体調、肥満の程度、日ごろの生活習慣など色々な条件から判断しなければならないので、なかなかルール化するのも難しい問題です。
シニア犬のトリミング受付時に確認すべきポイント
犬は人間の7倍ものスピードで歳をとると言われています。これは7倍のスピードで老化が進み、持病が悪化するという意味でもあります。
しかし、シニアになったからといってトリミングやシャンプーをしない訳にもいきません。
そこで、体調不良や過度な疲労を避けるために、シニア犬を受け入れる時は下記の点を飼い主様にしっかりヒアリングしてから受け付けをしましょう。
- 当日の食欲
- 便や排尿の状態
- 持病の有無・状態
- 日常生活の変化
りん
シニア犬やシニア猫を受け入れる際には、心身の状態をその場で確認することと同時に、下記のポイントもチェックしましょう。
- 湿疹や赤みなどの皮膚トラブルはないか
- シコリや腫瘍など皮膚に凹凸は無いか
- かゆみや痛みはないか
- 目ヤニや鼻水は出ていないか
- 肛門周りは汚れていないか
- 耳内部に汚れや悪臭がないか
上記の項目は飼い主様立ち合いの元で全身を触りながらしっかりと確認を行いましょう。
さらには上記のチェックと併せてトリミングテーブルの上に犬猫を立たせ、自力で姿勢を保つことができるかも確認が必要です。
りん
犬猫の体調に不安がある場合の対処法
少しでも異変を感じたり、犬猫の様子から不安を感じたりする場合は、予約を優先させずに下記の方法を飼い主様に提案してみてください。
- トリミング予約を別日程に変更する
- カットをせずにシャンプーのみに変更し、作業時間を短縮する
- バリカンを多用し、短時間で作業を終えることができるカットスタイルを提案する
- トリミング作業中は飼い主様に店内で待機してもらう
などなど、飼い主様と協力しつつ犬猫への負担を減らすこと&安全第一でトリミングを行いましょう。
暑い日は来店するだけでも危険です!
夏などの季節では、トリミングサロンに来るまでの移動だけで犬の心拍数は上昇し、軽度の熱中症を起こしている場合があります。
体温が上昇している状態ですぐにシャンプーを始めてしまうと、思わぬ体調不良を招く場合があるのでくれぐれも注意しましょう。
- 口を開けて呼吸をしている
- 心臓の鼓動が早く、短く浅い呼吸をしている
- 舌がダランと垂れさがっている
- 自力で立つことができず、座り込んでしまう
上記のような状態の場合、体調が回復するまでは涼しい部屋で休ませ、その後にトリミングを開始しましょう。
時短アイテムを積極的に活用しよう!
プードルやシーズーは何歳になっても定期的なカットが必要です。その上、シニアになると新陳代謝機能が低下し、皮脂の過剰分泌やフケ、悪臭など様々なトラブルが多くなります。
寝たきりや介護、痴呆といった問題を抱えている犬の場合、排泄の失敗も増え体も汚れがちです。シニアにはシニアだからこそ、欠かせないお手入れがあります。
しかし、シニアにとってこれまでのように長い時間を要するトリミングは命の危険にもつながる行為ですから、出来る限り時短を意識しなくてはなりません。そのため、下記のように時短に効果的なアイテムの使用をぜひ検討してみてください。
- 高吸水バスタオル
- 速乾性シャンプー
- 速乾性ブロースプレー
- トリミングテーブル上で姿勢を保つための吊り下げ式ハーネス
- ブロワー(大風量ドライヤー)
トリマー御用達のアイテムは年々便利度がアップし、海外からもたくさんのアイテムが輸入されています。
りん
シニア犬とそのご家族様が安心してトリミングサロンを利用できるように、これまでの当たり前を見直し、シニア犬の為の工夫をたくさん取り入れていきましょう。