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ポメラニアン特有の脱毛症にお悩み中!トリミング時の注意点は?

皆さんは「ポメハゲ」という症状を知っていますか?

これは、生後3歳前後から発症率が高まるポメラニアンに多くみられる脱毛症です。この脱毛症は頭部と足先以外のほとんどの被毛が抜けおちるうえ、確実な治療法も確立されていない深刻な問題です。

りん

今回は「ポメハゲ」と呼ばれる症状を抱えているポメラニアンをトリミングするときの注意点について解説していきます🎵

他犬やトリマーに「ポメハゲ」は伝染しません

ポメハゲと呼ばれる特有の症状は、体内のホルモンバランスの乱れが原因で起こるといわれています。そのため、他犬やトリマーに症状が伝染することはありません。

POINT
トリミングも他犬同様に受け入れ、シャンプー、ドライヤーを済ませて問題ありません。

しかし、脱毛が起こることでポメラニアンの薄い皮膚がむき出しになっていますから、下記に注意する必要があります。

  • シャンプー剤は低刺激な物を選ぶ
  • タオルドライは皮膚をこすらないよう、軽く抑えるようにタオルを当てて水分を拭き取るよう注意する
  • ドライヤーは皮膚の乾燥を招くのでできる限り短時間で済ませる
  • スリッカーで細かい傷をつけてしまわないよう注意する

トリミングの受付時に、お客様に使用するシャンプー剤について説明をしておくこともオススメします。

りん

中には、自前のシャンプーを持参される方もいるので、この点はお互いにしっかりと話し合っておくと安心です。

ドライヤーの前後の保湿剤の使用もオススメ

犬の皮膚は人間の赤ちゃんの皮膚よりも薄くデリケートです。だからこそ被毛で全身を覆い、デリケートな皮膚を守る構造になっています。

注意
しかし、ポメハゲの症状を発症してしまうと、皮膚を覆うバリアの役目がまるで無い状態で生活をしたり、トリミングをする訳ですから、当然皮膚はダメージを受けやすくなっています。トリミングを担当するときは、皮膚のこのような状態をしっかりと意識して、丁寧に行いましょう。

また、ドライヤーの熱風は急速に水分を飛ばすと同時に、皮膚表面にあるわずかな皮脂も乾燥させてしまい、トリミング後にかゆみや皮膚の赤みがでることがあります。

りん

トリミング後にフケが増えるのもこの乾燥が原因です❗️

このような場合はあらかじめお客様と相談をして「保湿効果」のある製品をトリミング時に使用するという方法があります。

例えば・・・

  • アニマー湯(入浴剤)
  • アヴァンスペット用化粧水

などが有名です。

シャンプーや入浴剤で保湿効果を補ったり、ドライヤー前に保湿を行うことで、辛い症状の予防につながる場合もあります。

そして、これら保湿剤については、すべての犬にこのサービスを提供するわけではないと思いますので、お客様に保湿効果のある製品を購入していただいたり、トリミングサロンのオプションメニューとして導入する方法がオススメです。

このような製品があること、保湿するという方法があることを知らない飼い主様も多いので、トリマーとしてできる症状の軽減策としてぜひ紹介してみてくださいね。

ポメハゲは完治しない?

ポメハゲに悩むポメラニアンは数十年前から一定数います。ただ、残念ながらこれまでに確実な治療法は見つかっていません。

そのため、動物病院では下記のような療法を指示される事があります。

  1. サプリメントの服用
  2. ホルモン剤の服用
  3. 食事療法
  4. 鍼灸治療
  5. 温泉浴

上記の治療法が愛犬の体質に合ったり、年齢を重ねることでホルモンバランスが正常に近づき、発毛に至るケースもあります。

しかし、いつどのような効果・変化がみられるのかは個体差があります。脱毛の症状も体のごく一部で終わる場合もあれば全身に広がる場合があるのです。

不安な飼い主様へのアドバイス方法

「ポメハゲ」に悩む飼い主様との会話の中では、下記のような話題が出ることもあるでしょう。

  1. 何年も治療していても改善しない
  2. 治療費が高額で困る
  3. 別病院への転院をすべきか?
  4. 効果的なサプリメントはないか?

もしも飼い主様に上記のような相談を受けたとしても、「ポメハゲ」に効果的な確実な治療法はありませんので、安易に動物病院を批判する意見や別病院を薦めることは控えましょう。

りん

トリマーはあくまでも中立・公平の立場を守り、自分の果たすべき役割、自分がしてあげられることに専念することも時には必要です🎵

ポメラニアンはアカラスや真菌の発症率も高い

実はポメラニアンは犬種特有の傾向として、アカラス(ダニの一種)や真菌(カビの一種)と呼ばれる伝染性の脱毛症の発症率が高い犬種でもあります。

この病気は、他犬はもちろんのこと家族やトリマーにも伝染する病気で、ポメハゲのような脱毛症を発症している事があります。

そのため、これらの病気に掛かっている犬を扱う場合、トリミングサロンでは下記に注意をしなくてはいけません。

  1. タオルの使い回し
  2. スリッカーやハサミの使い回し
  3. ケージやサークル、クレートの使い回し
  4. フリースペースでの犬同士のふれあい
  5. 待合室での犬同士の接触

アカラスや真菌は治るの?

アカラスや真菌は動物病院で正しく治療をすれば完治することができます。いったん抜けてしまった被毛が全て生え揃うまでには時間がかかりますが、周囲への感染リスクがない程度までの改善は可能です。

脱毛症状のあるポメラニアンのトリミングを受け付ける時は下記の項目をしっかり確認しましょう。

  1. 動物病院での診断結果の提示
  2. 伝染性の有無の確認
  3. 獣医師によるシャンプーの可否の判断の確認

体や顔の一部にだけ症状が出ているなどの場合は、飼い主様がペットの脱毛症に気が付いていないということも珍しくありません。

トリマーがシャンプーをすることで、抜けかかっていた被毛が一気に抜け落ち、脱毛の深刻さに気が付いたという飼い主様もいます。

トリミングを受け付ける時、少しでも異変や脱毛の症状に気が付いた時は、飼い主様にそのことを伝え、先輩トリマーの意見も聞きながら受付の可否を判断しましょう。

また、気が付かずにトリミングを受け付けてしまった時は・・・

  1. 使用したタオルや機器は十分に消毒する
  2. 他犬との接触をできる限り避ける
  3. 飼い主様に事情を説明し早急にお迎えにきてもらう

などの対処をしましょう。

POINT
真菌という病気はカビの一種です。ドライヤーで真菌が付着した被毛がトリミング室内に飛び散ることで、同時間帯に滞在していた他犬に症状が感染する場合もあります。このような場合は、他犬を別部屋に移動させるなど、出来る限りの対策を取りましょう。

子犬の顔脱毛は成長の過程

ポメラニアンは成長の過程で生後3~6か月ごろに顔の中心部の被毛が抜け、まるで猿のような顔立ちになる時期があります。

MEMO
この時期は目やマズル周辺の被毛が短くなり、周囲の被毛がそのまま残っているのでライオンのようとも言われ、正直ポメラニアン特有のかわいらしさが失われてしまいます。

ただ、この脱毛は成長過程でどのポメラニアンにも見られるものですので安心してください。

生後6か月から1年ほどをかけて徐々に不自然な被毛の生え方は改善に向かい、気が付けば本来の愛らしさ抜群のポメラニアンの顔立ちに戻ります。

この脱毛も伝染性はありませんのでご安心を。飼い主様の中には変わり果ててしまった愛犬の顔立ちにショックを受ける方もいますが、成長過程だということをきちんとお伝えしてあげましょう。

POINT
病的な症状では?と気になる場合は、動物病院で皮膚組織の検査を受ける事で、原因や感染性の有無を突き止めることができることも合わせてお伝えすると安心していただけます。

また、ポメラニアンに見られるこのような症状は、ポメラニアン系MIXやチワワ、パピヨンにもみられる場合があることも知っておいてください。

りん

皮膚や被毛のことで気になること、異変に気が付いた時は、丁寧に飼い主様にお伝えして、動物病院の受診を勧めてみてくださいね🎵