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【ペットの被災】トリマーができる情報発信とは?【災害対応】

トリマーという仕事は単にペットを綺麗にしたり、かわいくするだけではありません。ペットと暮らす大勢の方々が幸せで安全でいられるようお手伝いすることも大切な役割です。

最近、大規模災害時のペットの問題がたびたび話題になります。トリマーとして果たすべく役割の一つに日ごろからお客様に様々な情報を発信したり、アドバイスをすることがあります。

りん

お客様は自身の愛犬の性格、癖、食べ物の好みには誰よりも詳しい、まさにプロ以上の情報をもっています。しかし一方で災害や避難、法的なルールに関する専門的な情報は不足しがちです。お互いのもつ情報を共有することで、これからもより良い関係性を築いていきましょう。

マイクロチップは迷子対策に効果的

室内飼育の犬が増え、犬の首輪着用率は低下しています。今や首輪は散歩に出かける時だけのアイテム、ファッションアイテムと考えている方も少なくないでしょう。

ただ突然の大災害の場面では首輪は何より重要な愛犬の身分証になります。首輪に迷子札がついていれば飼い主に連絡が出来ます。首輪がついているだけで飼い犬であったという証明にもなり、首輪の色柄が決め手になり愛犬と再会できたという声もあります。

POINT
狂犬病予防注射を接種した際に支給される鑑札は本来常に犬に着用させておく義務があります。この鑑札の番号から飼い主の住民登録情報いたどり着くこともできます。

様々なメリットがある首輪ではあるものの、なかなか常に着用をというと課題が多いのが難点です。もちろん鑑札や迷子札ももしもの時は紛失や汚れで判別ができないこともあります。

マイクロチップ装填が義務化

そこで今後は「マイクロチップ」の装填が重要になっていくでしょう。改正された動物愛護法では今後、マイクロチップの装填が販売時に義務化されます。マイクロチップは近隣の動物病院で装填可能です。装填時に麻酔は必要なく、注射程度の時間で簡単に済みます。

全国の保健所にはマイクロチップの読み取り機が設置されているので、愛犬がもし迷子になり保健所へ収容された場合でも飼い主の登録情報にたどり着き、連絡をすることができます。

りん

飼い主さんの多くは心のどこかで「うちの犬は大丈夫」と油断しがちです。トリマー今後このような方法があることその効果を積極的に伝えていきたいものです。

問題行動が原因で同行避難を諦めるケースも

トリミング中は口輪・エリザベスカラーを使えば無駄吠え・噛みつきなど犬の問題行動をトリミング中という限られた状況下ではなんとか乗り切ることも出来るでしょう。

しかし不特定多数の方が避難する状況でこれらの問題行動が必ずしも受け入れられるとは限りません。お互いに精神的な余裕がないのですから当然です。愛犬家同士であってもいがみ合うこともあります。

もしこのような犬が身近にいる場合は、お客様に対処法のアドバイスをすることをおすすめします。

  • プロのドッグトレーナーに相談をする
  • 自宅でクレートトレーニングを行う
  • 飼い主自身が口輪の着用に慣れ、災害避難用品とセットで常備しておく
  • 噛みつき、無駄吠えがある旨の張り紙を常備し、避難時に掲示する

生後一年未満と若い犬の場合は災害時を想定し、しつけの必要性を理解していただいたうえでドッグトレーナーによるしつけ直しをおすすめしましょう。トリマー個人として、店舗として、あらかじめ信頼のおけるドッグトレーナーを数名把握しておくとスムーズに話が進みます。

りん

すでに年齢が高く、これから問題行動を修正することは現実的に難しいと思える場合は、どうすればもしもの時にスムーズに避難し、周囲に迷惑をかけずに済むのかを考え、提案することを考えてみましょう。

これまでの災害の現場では犬のしつけ、問題行動が原因で家族が避難をためらう、諦めるというケースが多々ありました。今、全国の自治体はペット同伴避難が可能な体勢を猛スピードで整えてくれています。だからこそペットの同伴避難を希望する側も果たすべく責任やマナーがあることを改めて考えておきたいものです。

狂犬病未接種も災害時には問題に

日ごろ、トリミング利用時には混合ワクチン接種済証明書の提示を求めるでしょう。この時、狂犬病予防に関しても同様に提示を求め、未提示であれば利用をお断りする店舗と狂犬病予防注射であればと大目にみてしまう店舗とがあります。

日本では数十年以上も狂犬病の発症が確認されていないので、今やこの予防注射の必要性に疑問の声があがるほどです。

ただ狂犬病予防注射を毎年一回接種することは法律で定められた飼い主の義務です。もちろんトリミングサロンがその義務の遂行に携わることはありませんが、飼い主への情報発信には貢献すべきでしょう。

狂犬病未接種は避難所入場制限

実は国内で起きた大規模災害時に、自治体の開設した避難ペットの滞在施設への入場に際して、狂犬病予防注射未接種の場合は入場が制限されるというケースが起こったことがあります。

これは不特定多数の犬が同室で過ごすので、もしもの伝染病発症に注意が必要なこと、自治体は狂犬病予防注射の接種状況をもとに該当地域での犬の飼育頭数、飼育者情報を把握しているので、未接種の犬を受け入れることで管理が行き届かないことなどいくつかの理由が挙がっていました。

りん

法的な義務を遂行していないという飼い主側に落ち度があるのですから、当然の結果ではありますが日ごろ室内で暮らす小さくか弱い犬達が屋外に係留され過ごす姿はなんとも複雑なものでした。

狂犬病予防注射は法的な義務であること、自治体の情報把握に必要なことを情報としてトリマーが知っていることで、未接種者へのアドバイスにもつながるでしょう。

意外に少ない?愛犬の全身写真と家族写真

スマホの中に愛犬の写真はありますか?今やほぼ100%の飼い主がYES!と答えるでしょう。

では下記はどうでしょうか?

  • 愛犬の全身(体のサイズや特徴がわかる画像)が映っている写真は?
  • 愛犬と家族(スマホ所有者)とのツーショット写真は?

不思議と100%のYESにはなりません。子供と愛犬、奥様と愛犬はあるけど…という回答が急増します。

実はこの簡単な問いかけが災害には大きな意味をもちます。大規模災害の現場では室内から脱走してしまった犬猫の保護が急増します。中には飼い主との避難中に迷子になるということも少なくありません。

保健所やボランティアによって一時保護された犬猫が直面した問題に「身分証明」がありました。

災害が落ち着き、家族が愛犬、愛猫を迎えにきたものの飼い主が自身のペットであると証明する客観的な証拠がないからです。犬猫によっては突然の出来事、慣れない環境下で飼い主にさえも愛想のない態度を示すことがあります。保護に携わっている方々も、もしも他人に渡してしまったらという不安に直面しています。必ずしも来訪者の申し出通りにスムーズに引き渡しが進みません。

このような時に、持参したスマホに一緒にうつっている画像や動画あれば自身のペットであることの証明につながります。もちろん一緒にうつっている人物はスマホの所有者であることが前提です。家族とともに映っている画像であれば、その家族と自身との関係性を改めて証明しなければなりません。

りん

災害の現場で大切なペットを守るには実際に起きたこと、備えるべきことを日ごろから情報発信し続けることが大切です。お客様と接する仕事だからこそ、このような情報も積極的に取り入れていきましょう。