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膝が悪い犬のトリミング!知っておきたい小型犬が抱える膝のトラブルとは?

小型犬の飼い主様と会話をしていると、たびたび「膝が悪くて」という言葉や「パテラ(膝蓋骨脱臼)」という言葉を耳にします。

実はこの会話、決して聞き流してはいけません。膝にトラブルを抱えている犬を担当する時は、常に犬の姿勢や扱い方に気を配りましょう。

りん

時には仕上がりの良さよりも、犬への負担軽減を優先すべき場合もあります。今回は増加傾向にある犬の膝トラブルに注目🎵

知っておきたい膝のトラブルやパテラの意味

犬が抱える膝のトラブルは、実はとても深刻なものです。決して自然治癒することはなく、日々の生活で飼い主様は様々な点に注意をし、愛犬が辛い思いをせずに過ごせるよう気を配っています。

膝のトラブルの大半は「膝蓋骨脱臼」という病名に当てはまり、この病名を「パテラ」と呼びます。

POINT
膝蓋骨脱臼とは、犬も人間と同じように膝に皿状の骨があります。人間の「膝小僧」と呼ばれる骨です。この骨の下部には、この骨がピッタリ収まるサイズの溝があり、膝蓋骨が溝の中を上下に移動することで、スムーズに足の曲げ伸ばしができる仕組みです。

しかし膝蓋骨脱臼を患う犬の溝は十分な深さがなく、不意のタイミングで膝小僧の位置が左右にずれ落ちてしまうことがあります。

りん

この状態になると犬はスムーズに膝の曲げ伸ばしができなくなったり、痛みや違和感を抱くようになります。

「パテラ」は親犬からの遺伝や個々の体質・肥満や生活環境による悪化など、原因は1つではなく、毎日の生活に注意や工夫をすることでケアをし続けなければなりません。

トリミング中のこんな瞬間に要注意!!

膝蓋骨脱臼というトラブルを抱えている犬でも、症状の程度によっては他犬と変わらない生活を過ごすことができます。散歩ではしゃいだり、他犬とじゃれ合ったり、後ろ足だけで立ち上がったりすることも可能です。

しかし、不意のタイミングで態勢が崩れたり、負荷がかかると途端に症状が現れるので油断は禁物です。

そのため、トリミングでは下記の事項に注意しましょう。

  1. 飼い主様から預かる時の抱き方
  2. シャンプー中にドッグバス内で立ち上がっているとき
  3. ケージ内で立ち上がっているとき
  4. 過度の興奮しているとき
  5. トリミング中に長時間立ち姿勢が続くとき

特にドッグバスのように内部が滑りやすくなっている場所では、不意に態勢を崩すことがあるので大変危険です。そしてサークルやケージのように前足を引っかける場所があると、何度も立ち上がったり、ジャンプを繰り返すこともあるでしょう。

そして下記のようにトリミング中は立ち姿勢が長引いてしまう場面も少なくありません。

  1. 興奮して立ち上がる時
  2. お腹周りにバリカンをかける時
  3. 後肢のカットをする時
  4. 全体のカットの仕上がり具合を確認したい時

トリミングサロンという場所、トリミングという状況など、非日常の場面では犬も緊張感があるので多少の無理をしてしまうものです。

りん

素直な性格の犬であれば、トリマーの指示により一生懸命に応えようとしています。

トリミング作業の中で、ごく当たり前に行っている手順が実は膝にトラブルを抱えている犬にとっては大変危険であることも。

今後は、膝にトラブルを抱えている犬を担当する場合、危険とされる作業や手順にくれぐれも注意しましょう。

膝にトラブルを抱えている犬を担当する時の工夫

膝にトラブルを抱えている犬を担当する場合は下記を心掛けて作業をしてください。

  1. できる限り短時間で作業を終える
  2. 立ち姿勢で過ごす時間を短縮し、お座りやフセの姿勢での作業を積極的に行う(立ち姿勢は必要最低限にとどめるよう意識する)

上記2点に気を付けるためには、カット技術を向上させることももちろんですが下記のような工夫を講じてみましょう。

  • 飼い主様に膝への負担軽減の意図を説明し、短時間で仕上がるカットスタイルを提案する
  • BOXドライヤーなどを積極的に活用し、立ち姿勢を保つ時間を短くする
  • 他トリマーに事情を説明し、カットを分担しながら短時間で済ませる
  • バリカンを使用して時短を心掛ける
  • トリミング中にこまめに休憩を挟み、犬がリラックスした姿勢になれるよう工夫する

また、休憩を挟みながら作業を進める場合、所要時間が長くなることをあらかじめ飼い主様にお伝えしておくと良いでしょう。

特に飼い主様との接客は大切なポイントです。飼い主様の希望するスタイルをそのまま再現するには、相当な時間がかかってしまうこともあります。後肢にアクセントのあるカットを希望された場合、当然立ち姿勢を保つ時間も長くなるでしょう。

りん

このような場合は、立ち姿勢が長くなり犬への負担が心配なことを丁寧に伝え、別のデザインカットを提案しましょう❗️

例えば・・・顔や耳にアクセントのあるカットスタイルであればお座りやフセの姿勢をメインにカットを進めることができるので安心です。

飼い主様の要望は断るのではなく、代替策・出来ること・負担の少ない方法を提案することで満足していただけないか?を考えてみましょう。

自分だけでは判断が難しい、どんなカットスタイルが良いのか分からない場合は、先輩トリマーに相談をしたり、ネットでカットスタイルを検索し、飼い主様に見ていただくなどの方法で一番良い方法を見つけてくださいね。

シャンプー犬も油断は禁物

膝にトラブルを抱えている犬への注意点は、シャンプーのみの場合も例外ではありません。柴犬やレトリバーなどシャンプー後のドライヤーに長時間立ち姿勢が必要な犬もいます。

ダックスフンドやキャバリアのようにお腹やお尻の飾り毛を綺麗に仕上げるには立ち姿勢を保ってもらわないと作業ができません。

トリマー目線で考えるとさほど長時間の作業ではない、あっという間に完了したはずと思う場合でも、犬にとっては限界を超えているということもあります。

りん

膝の問題は決して油断せず、犬の扱いや姿勢に十分注意を払いましょう。

膝にトラブルを抱えている犬は増加の一途

実は膝にトラブルを抱えている犬は年々増加傾向にあると言われており、その理由は下記が挙げられます。

  1. 遺伝性疾患の増加
  2. フローリングなど滑りやすい床材での生活
  3. 自宅階段の昇降
  4. サークル内で後肢だけで立ち上がる習慣がある
  5. 肥満
  6. 加齢による症状の悪化

以前、この膝のトラブルは一部の小型犬(ポメラニアンやプードルなど)に多くみられる症状でした。

しかし今では犬種を限定せず、どんな犬でもこのリスクを抱えていると言われています。さらに中型〜大型犬もこの症状とは無縁という訳ではありません。

飼い主様の中には愛犬の膝の状態を正しく把握されていない方も多く、なかなかトリマーとの情報共有ができないという課題もあります。

このような状態の中で、下記のようなクレームを付けてくる飼い主様もゼロではないのです。

  • トリミングサロン利用後に愛犬の足に違和感がある
  • トリミングから帰宅後に足を持ち上げ歩くようになった
  • トリミング後に抱っこしようとした瞬間に愛犬が「キャン」と甲高く鳴いて痛みを訴えた

トリミングテーブルやサークルで待機している時は、トリマーも気が付かずに過ごしてしまったものの、帰宅し散歩や室内で走り回ることで症状が分かりやすく現れることがあります。

りん

このような場合、飼い主様はトリミングサロンへの不信感を募らせてしまうので、トリミングの受付時にしっかりと膝や持病についてヒアリングをすることが大切です。

特に、新規利用の犬・高齢犬・肥満犬・歩行する際に違和感がある犬の場合は十分に確認をしてからトリミングを始めましょう。