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触れただけでも怒る!?犬が顔カットを嫌がる理由と対処法を解説

トリミングの出来栄えを大きく左右する顔カット。

現役トリマーのみなさまの中には「実は顔カットが苦手・・・」と思っていたり、特定の犬種の顔カットに苦手意識をもっている方もいるのではないでしょうか?

ただでさえ苦手な顔カットの際に、犬が激しく暴れたり、ハサミに噛みつこうとするとさらに難度が上がり、トリミングが思うように進みませんよね。

りん

今回は犬が顔カットを嫌がる理由と将来を見据えた解決法に注目❗️ぜひご覧ください🎵

口内トラブルや痛みが顔カットを嫌がる原因に?

犬が顔カットを嫌がってしまうなどの理由だとしても、トリミング終了後の完成度が低い場合はトリマーの技術不足と捉えられることがトリミング界では常識とされることが多くあります。

飼い主の中には顔カットができていないことに怒り、別の担当者を希望したり、別のサロンに利用先を変えたり、時には割引や返金を求められる場合もあります。

でも・・・犬が顔カットを嫌がる理由は必ずしもトリマーに責任があるばかりではありません。犬が顔カットを嫌がる主な理由に下記が挙げられます。

  1. 目の前で光るハサミの反射光を条件反射的に怖がる
  2. ハサミの音や感触に恐怖を感じる
  3. トラウマがある
  4. 口内トラブルが原因で痛みがある

などなど。上記の中で最近特に増えているのは、口内トラブルによる顔カット拒否です。

POINT
犬は3歳を過ぎると徐々に口内トラブルが深刻化し始め、6歳を超えてシニア期を迎えると医療的な処置が必要になるほど重症化することも多くなります。

歯垢や歯石が原因で歯や歯茎に痛みや違和感があると、トリマーが口元に触れたり、アゴ下の被毛を軽くつまんだだけで痛みが走ることも。

当然、痛みや違和感がある部位を犬は条件反射的にかばおうとするので、激しく抵抗したり、威嚇や唸るなどの攻撃的な行動を起こします。

りん

これまでは大人しくて扱いやすいと思っていた常連の犬がなぜか扱いにくくなった、顔カットを嫌がるようになったと感じることがあれば、加齢による口内トラブルの可能性も視野に入れて対策を考えてみましょう。

加齢による視力の低下や警戒心の増大

シニアになり視力低下や視野狭窄が起きていると、店内の照明器具の光がハサミに反射して発生する不規則な光にさえも恐怖を感じ、ますます攻撃的になることがあります。

犬が顔カットを嫌がる時は、無理強いをしない程度に状況を確認してみてください。

例えば・・・

  • どのタイミングや作業で嫌がるのか?
  • トリミングテーブルの場所を移動したら解決できないか?(照明の光の反射が変われば解決できる場合もあります)
  • 2人体制で1人が抱っこをするなどして姿勢を変えればカットができるか?

もしも上記いずれの方法でも解決できない場合は、口内や口元をチェックしてみてください。炎症や腫れなど飼い主でも気がついていない症状が起きている場合は、患部を出来る限り刺激しないように最低限のカットで済ませ、飼い主にその旨をお伝えしましょう。

注意
犬を静止させることや直立不動を維持させること、キョロキョロしないように厳しい口調で叱ることは、このような理由で顔カットを嫌がる犬には逆効果ですので十分注意しましょう。

りん

犬からの意思表示には様々な意味があると考えながら、トリミングに取り組んでいきましょう❗️

毎日の歯磨き習慣が顔カットを拒否する原因になる?

犬の歯磨き習慣は口内トラブルの原因となる歯垢や歯石の予防という観点からはとても効果的な方法です。

しかし、犬にとって口内や口元は細く繊細な神経が張り巡らされた急所でもあります。急所に怪我を負えば命の危機に直面することを意味するので、条件反射的に防衛本能が働きます。つまり犬にとって歯磨きは決して快適でリラックスできるものではありません。

注意
最近では歯磨きの推奨を受け、自宅で愛犬に歯磨きをする飼い主も増えてはいるものの、中には歯ブラシを持つ手に力が入りすぎてしまい歯茎を傷つけてしまったり、炎症箇所を刺激したり、グラついた歯を刺激して激しい痛みを起こしてしまったりといった問題が起きています。

犬がこのようなトラウマを抱えていることを知らずにトリマーが顔カットに取り掛かろうとすれば、当然犬は歯磨きのトラウマを思い出して激しく拒絶するでしょう。家族であれば我慢もできるものの、相手がトリマーともなれば遠慮することもなく激しい攻撃に出るのも当然です。

飼い主の中には、自宅での歯磨き習慣や家族であっても口元に触れると嫌がるという情報を事前にトリマーに伝えるべきだと気がついていない方も大勢います。

顔カットやひげカットが必要な場合は、受付時に必ず顔や口元にトリマーが触れ、嫌がるそぶりが無いか?自宅での反応はどうか?など丁寧なヒアリングを怠らないように意識しましょう🎵

現役トリマー

顔カット拒否の原因となったトラウマは何?まずは原因究明を!

犬の中にはハサミやバリカンを近付けてすらいない時点で、顔に触れられることを激しく嫌がったり、噛みつくケースがあります。

このような場合、犬はなんらかのトラウマを抱えていることをまずは理解してあげてください。

POINT
トラウマを抱えている犬の場合、トラウマになった原因を見つけることが何よりの解決策です。無理にカットを終えることよりも、飼い主に状況を説明し、トラウマの原因や解決法を一緒に考えることを優先しましょう。

特にシーズーやプードル、シュナウザーは何歳になっても顔カットが必要です。10歳を超えるシニアになっても定期的な顔カットが続く上に、持病の治療で服薬が必要になれば1日に数回顔や口元に触れる生活になることもあります。

りん

大切なことは、その時限りの解決策で乗り越えるのではなく、今後生きていくなかで犬も飼い主もトリマーも、極力ストレスが掛からない状態で過ごせるようにすることです🎵

状況は必ず飼い主に報告を!

犬の学習能力はとても高く、一度経験したことは決して忘れないとも言われています。

つまり一度でも顔カットで嫌な思いをしたり、激しく拒絶したことで苦手な顔カットから解放されると学習をすると、今後は何度も同じことを繰り返し、自分の思うようになるまで決して諦めないという強硬手段に出るようになります。

顔カットはカットラインの印象を左右するとても大切な仕上げ作業です。本来であれば十分に時間をかけ、トリマーが納得のいく仕上がりにしたいものですが、なかなか思うように作業が進まないことも多々あるでしょう。

POINT
顔カットを中断せざるを得ない、飼い主の希望する短さまで切り進めることができない、そもそも顔に触れることさえ危険という場合は、犬に無理強いをして作業を終わらすことよりも、飼い主への状況報告を優先してください。

飼い主と話し合ったうえで、どのような解決策があるのか?トリマーの立場から最善と思える方法を提案し、飼い主と一緒に解決に取り組んでいきましょう。

カットを中断したことを飼い主に報告するとき、言い訳をしているようで気まずいと感じたり、自分の技術力不足から凹んでしまうこともあるでしょう。でもこのような報告は決して言い訳ではありません。犬にこれ以上のトラウマを与えず、怪我をさせないことを優先した結果です。

現役トリマー

りん

言葉遣いや今後の対処に十分気配りをしながら丁寧に説明していけば、きっと良い方向に物事が進むので、怖がらず前向きな気持ちで取り組んでみてくださいね🎵