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法律改正でケージサイズのルールが変わるかも!?【動物取扱業の適正化】

トリミング作業中の一時預かりやホテル預かり時、送迎時など、トリミングサロンやペットサロンにおいて必須級のアイテムといえば【ケージ】ではないでしょうか。

このケージ、動物愛護法の改正に伴って新たなルールが設けられるという話はご存知ですか?

2021年4月時点では明確なサイズ規定はありません

ペットに関するサービスを行う施設を新規で開業するときは、個人法人問わずに動物愛護法に基づいた申請や許認可を受ける必要があります。

この動物愛護法は定期的に内容が見直され、不足部分を追加したり、これまでルール化されていなかった細かい部分にも目を向けて新たなルールを定めるなどの仕組みがとられています。

その中でトリマーやトリミングサロン関係者が今、注目をしているのが今後ルール化される予定の【ケージ】に関する項目です。

現状、トリミングサロン等で使用するケージは3段の前扉付きケージや折り畳み可能なケージが一般的です。これらの製品は耐久性が高く、中には10年以上前に購入したケージを丁寧に使い続けているという施設も少なくありません。

これまで明確なサイズ基準は無かったものの、トリマーの目で見て安全なこと、犬にとって窮屈でないことや不快でないこと、業務使用に耐えうることが選択の基準とされ、ほとんどの優良施設が現時点までは大きな問題に至ることもなく過ごしてきたことと思います。

しかし・・・これらケージは、扱う業者によって1つのケージに複数の犬を入れて生活させる、明らかにサイズの合っていないケージに長期間閉じ込めて飼育をする等、愛護法に反するような社会問題が後を絶ちません。

このような背景から、法律で下記の点においてルール化すべきという方針が打ち出されました。

  1. 犬のサイズに合ったケージサイズは何cmなのか?
  2. 使用して良いケージのサイズは何cmなのか?
  3. 部屋の広さにおける設置して良いケージの個数はいくつなのか?

これまではなんとなく選択していたケージ製品ですが、新しいルールが制定された時には店舗備品の買い替えや処分の必要性も出てくるでしょう。中にはこの新法設立にゲンナリする動物業界関係者もいると思います。

でも、これらの対策は不幸なペットを減らすためには必要不可欠です。日本に多く存在する悪徳なペット業者を根絶するためにはまだまだ足りないくらいです。

現役トリマー

改正後のルール適用には準備期間がある

トリマー仲間やネット上の情報で今後ケージサイズが法律で定められる、今使っている3段ケージはサイズ基準を満たさないので使えなくなるなどの情報を知り、不安を抱えている方もいるのではないでしょうか?

実は動物愛護法ではまだ明確なケージサイズの数値が発表されていません。上記の情報の多くは、関係者などの事前アンケートや改正案に基づいたイメージによるものです。

つまり、現在使っているケージがすぐに使えなくなってしまう、買い替えが必要ということではないので安心してください。

POINT
動物愛護法が改正され、新たなルールや決まりが導入される際には必ず準備期間が設けられます。ある日突然新しい法律が発表され、その日から適用されるわけではありません。すでに開業しているトリミングサロンやケージの製造メーカー、販売店や問屋がスムーズに新しいルールに変更できるよう考えられています。

これまでの新ルール導入の際には、2年程度の準備期間が設けられています。この準備期間中に買い替えや店舗の改装、販売店やメーカーは在庫の調整などを済ませる流れになるでしょう。

りん

今使っているケージを使い続けることができるのか?という点が何より気になると思いますが、この内容も法律の改正に合わせて対処法が発表されるので、それまでは焦って買い替えたりトリミングサロンの改装をしたりせずに詳しい内容が発表されるまで待機するのがベストだと思います。

これから独立開業を計画している人はどうする?

これから独立開業を計画している方は、新たなケージサイズのルールが分からないとどのケージを買うべきか、何台設置できるのか、ペットホテルの滞在頭数は何頭まで可能か?など分からないことだらけで不安になると思います。

とは言っても、まだ詳細については発表されていませんので現時点で明確に答えを出すのは自治体でも問屋やメーカーでもできません。

りん

かといって新たな法律が発表されるまで独立開業のタイミングや新規出店を先延ばしにするのも現実的な判断ではない場合もありますよね・・・。

そんな時には下記の対策を参考にしてください。

  • ケージの購入台数を最小限に抑えておく
  • 店内のレイアウトは余裕を持った作りで考え、ケージサイズの変更に対応できるように考えておく
  • 買い替えのことを考えて中古品の購入を検討する

数値化は難しいといわれるペットに関する法律

ニュースなどでペットに関する悲しい話題や腹立たしさを覚えるほどの劣悪な飼育環境を目にすると、法律の必要性を誰もが感じることと思います。

しかし、なかなかペットに関する法律が整備されない理由は、ペットや生き物に関する決まりを数値化することの難しさが関係しています。

例えば今後改正される予定の動物愛護法では、ケージサイズ以外にも下記の事項も課題に挙がっています。

  • 1人のスタッフが飼育管理できる犬の頭数上限
  • 犬1匹が一生に出産できる回数の上限

これらを具体的な数字で決めることがいかに難しいかはペット業界従事者であれば誰もが感じることではないでしょうか?ケージのサイズも同様で、単にケージといってもトリミングの待ち時間に数分過ごすケージと、住処として使用するケージとでは全く違います。

よくある3段ケージにトリミングの合間一時的に柴犬を入れることに問題は感じませんが、3段ケージに24時間柴犬を入れて生活させると聞けば誰もがあり得ないと感じるでしょう。

犬のサイズや健康状態・年齢・生活環境・飼い主の飼育経験など様々な点を考えると、なかなか犬に最適なケージのサイズを数字で決めるのは難しいことですね。

現役トリマー

ただ現状のまま、何のルールも無い中で犬の飼育を認めてしまうと社会的な問題の解決につながらないのも事実です。

りん

ペットに関する全ての課題を少しでも解消するための法律化ですから、必ずしもトリマーの立場で納得できる内容にはならないかもしれません。ですが今後どのような内容でルール化されるのか?準備期間はいつまでなのか?という情報には常にアンテナを張っておきましょう。