公式YouTubeでカット動画配信中!

動物取扱責任者の基本知識【トリマーが開業するために必要なこと】

動物取扱業という名称や動物取扱業責任者という言葉を聞いても、よく分からない、独立開業は考えていないので自分には関係がない・・・なんて思っている人はいませんか?

中には専門学校で習うこともなく卒業した人もいると思います。

しかし、動物取扱業や動物取扱業責任者に関する事項は、ペット業界で仕事をする全ての人が正しく理解し、運用しなければならない大切なものです。

りん

今回は、動物取扱責任者と動物取扱業について解説します🎵

【大前提として】動物愛護法を知っていますか?

ニュースやペット関連の勉強を通じて「動物愛護法」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。

POINT
動物愛護法という法律はペットを正しい飼育方法で飼育することや、不適切な繁殖や飼育・虐待を禁止したり、ペット関連の仕事を営む上でのルールを定めている法律です。

この法律ができたことで、これまでネガティブなイメージを持たれることもあったペット業界も徐々に改善が進んでいます。

りん

また、この動物愛護法ではペット関連の仕事を開業、営業する際に必ず自治体の許認可を得なければならないというルールも設けられています。この許認可(登録)こそが「動物取扱業」にあたります🎵

動物取扱責任者とは?

動物取扱責任者とは動物愛護法の定める施設やサービスを運営する際の責任者のことです。

自治体からの営業許可を取得するうえで、法律に遵守した正しい営業をしているか、従業員が動物を適切に扱っているかなどを監督する立場の人を指します。

動物愛護法では施設やサービスの大小に関わらず、動物の繁殖・飼育・展示・売買・保管を行う業態の場合には必ず動物取扱責任者を1名常駐させなければならないと定めています。

つまり・・・全国展開のチェーン店で考えると、それぞれの店舗ごとに常駐可能な動物取扱責任者を1名配置する必要があるということですね。

現役トリマー

ここでポイントになるのは「常駐」という点です。仮に本社が東京でトリミングサロンは埼玉にあるという会社の場合、埼玉の店舗に常勤で動物取扱責任者の取得条件を満たすスタッフがいなければ自治体からの営業許可はおりません。

りん

さらに❗️「常駐」という言葉が意味するのは、アルバイトやパートなど不定期短時間の勤務ではなく、ある程度の出勤日数や仕事内容の把握ができていることも前提とされています。

動物取扱責任者になるための条件は?

動物取扱責任者になるための条件は下記の通りです。

  • 獣医師である
  • 愛玩動物看護師である
  • 専門性を有する社団法人等の試験に合格している+第一種動物取扱業者で6ヶ月以上の実務経験がある
  • 獣医学・動物看護学・畜産学などを学ぶ大学、専門学校などの教育機関を卒業している+第一種動物取扱業者で6ヶ月以上の実務経験がある
POINT
以前は業務に関する資格・実務経験・卒業のいずれかがあればOKでしたが、令和2年6月1日施行の改正動物愛護管理法により動物取扱責任者の資格要件が変わりました。現在は資格or卒業+実務経験の2つが必要になっています。

りん

以前の要件で動物取扱責任者になっていた方も、令和5年5月31日までに改正後の要件を満たす必要がありますよ❗️

動物取扱業って何?

一昔前までのペット業界は「ペットが好き!ペットの仕事を始めたい!」と思えば、いつでもどこでも開業することができていました。しかし動物愛護法が制定されたことで、開業するには実務経験や資格、営業内容に応じた施設の確保など、様々な条件をクリアしなければいけなくなりました。

このルールは企業だけではなく個人での開業も対象です。

例えば・・・

  • 自宅の一部を改装してトリミングサロンを開きたい
  • 休日を利用してペットシッターの仕事を始めたい
  • トリミングカーを購入して出張トリミングを始めたい
  • ペットの介護や通院を代行する仕事を始めたい
  • 顔なじみのお客様だけを対象にした小規模なトリミングサロンを開業したい

上記のように店舗が小規模であろうとなかろうと、日本において動物の繁殖・飼育・展示・売買・保管などを行う業種(=動物取扱業)の開業にあたっては、事前に開業地域の自治体の許認可を取得しなければいけません。

POINT
動物の愛護及び管理に関する法律第13条によって、第一種動物取扱業の登録は5年ごとにその更新を受けなければその期間の経過によってその効力を失う旨定められています。

参考 第一種動物取扱業の登録について東京都動物愛護相談センター

勤務先で動物取扱責任者になって欲しいと言われたらどうする?

トリマーさんの中には、トリマーとして一人前になった時、店長の仕事を引き受ける時、新店がオープンする時、前任の店長が退職するようなタイミングで、勤務先のオーナーや店長から動物取扱責任者になってもらえないか?と相談を受けることがあります。

もしも勤務先で動物取扱責任者になってくれないか?と言われた時は、まずは下記の事項を考えてみてください。

  1. 各自治体の定める条件を自分が満たしているかどうか
  2. 今の職場で今後も勤務を続けるつもりはあるか
  3. 今の職場の仕事内容や動物の管理方法に関して動物愛護法違反に当たる点がないか

りん

動物取扱責任者になった場合、責任者でいる期間は常にお店の環境やスタッフの動物に対する扱いが動物愛護法に違反していないかをチェックしなくてはいけません。
決して楽な立場ではないですね。

現役トリマー

書類上の手続きだけ、またはあなたの名前を貸すだけという簡単な気持ちで動物取扱責任者を引き受けることのないようにしましょう。

参考 動物取扱責任者について東京都動物愛護相談センター

動物取扱責任者が転職や退職する時はどうする?

動物取扱責任者の認定要件は各自治体によって内容が多少異なりますが「常駐」であることは全国共通のルールです。

注意
「常駐」=2〜3店舗の複数店舗掛け持ちでは動物取扱責任者の登録はできません。

これから退職または転職を考えている動物取扱責任者のトリマーさんは、最終勤務日の数か月前には動物取扱責任者の名義変更を勤務先に依頼しましょう。

動物取扱責任者の資格を新たに取得するためには、自治体が定期的に執り行っている講習会への参加が必須条件です。

しかしこの講習会は月に1〜2回と回数が少なく、講習会参加後の各種書類提出も考えると、名義を変更するだけで数週間~数か月かかる場合もあります。

りん

ちなみに、名義変更の手続きを怠ってしまった場合は自治体から営業停止などの命令が下ることもあるので注意しましょう❗️

掲示や記載・書き換えの義務を忘れずに

動物取扱責任者の資格は数年ごとの更新制です。毎回有効期限が設けられ、有効期限が切れる前に更新の手続きが必要です。

そして更新をするためには下記の条件をクリアする必要があります。

  • 講習会の受講
  • 更新手数料の支払い

講習会の開催は月に1〜2回と日程が限られていますので、前もってスケジュールを確認し、期限内に必ず更新を済ませましょう。

また、ペット関連のすべての仕事を開業するうえで必要な「動物取扱業」の許認可には、下記の内容を公開しなければならないという決まりがあります。

  1. 動物取扱責任者の氏名
  2. 許認可取得年月日・有効期限
  3. 届け出番号

施設がある地域・地区の自治体から営業を許可された事業者であることをお客様にきちんと伝えるために、動物取扱業登録証の記載内容をホームページや名刺、チラシなどに記載することも必要です。

りん

ホームページに動物取扱責任者の番号などを記載しているお店については、名義変更や更新を行った際に、その都度有効期限や番号を書き換えましょう。

動物取扱責任者の有効期限が切れていたことに気付いたら?

動物取扱責任者講習への参加をうっかり忘れていた、手続きを知らずに前任の店長が退職してそのままにしていた、講習会費用や登録時費用が用意できなかった等の理由から動物取扱責任者の更新が遅れ、有効期限が切れてしまった場合は決してそのまま放置せず、最寄りの自治体に相談をしてください。

POINT
動物取扱責任者の資格はペット関連の仕事を営む上で必ず取得しなければならないものですので、有効期限が切れたままでも許されるという曖昧なルールはありません。気が付いた時点で自治体に連絡し、どのような方法で解決したら良いのか指示を仰ぎましょう。

動物たちの暮らす環境がペット先進国に負けず劣らず改善されるためには、私達ペット関連の仕事に従事する者の協力や努力も欠かせません。

りん

日本で暮らすペットたちがより豊かで健全な生活を送れるよう、一人一人がしっかりと動物に関する法律や決まりを理解・把握し、より良い社会を実現するためにできることを日々模索していきましょう🎵